パンと植木鉢   

監督: モフセン・マフマルバフ  (監督オフィシャルサイトへ

     1996年フランス・イラン合作 / カラー/ビスタ /78分

 

出演: ミルハディ・タイエビ、アリ・バクシ、アマル・タフティ

 

1996年 東京国際映画祭/アジア秀作映画週間出品

世界40ヶ所以上の映画祭に出品

 

解説

●かつてマフマルバフに刺された元警官が、熱烈なファンとして彼の前に現れる。マフマルバフは即座に映画化を決意。さっそくオーディションをおこない、「若き日の警官」と「若き日の監督」を演じる若者を決定する。しかし元警官には秘密があった。彼は事件の直前に出会った初恋の少女との再会を密かにもくろんでいたのだ。一方、マフマルバフは警官を襲うときに囮になってくれた少女役の選考に頭を悩ませる・・・。かくして、マフマルバフが指揮する「若き日の監督」チームと、元警官が指揮する「若き日の警官」チームに別れて撮影が始まる。そして、事件の起きた現場で二つの撮影チームが交差する・・・。

●マフマルバフには(政治活動に身を投じた)15歳の時から一貫した目標があるという。それは、人類の「自由・平等・精神の充実」の実現。政治少年だったマフマルバフが出獄後、文化活動へと転身した理由は、革命後の社会を見て政治では人々を救う事が出来ないと悟ったからだという。文化活動で社会変革を目指す、つまり「詩と哲学」で社会を変えることが、作家であり映画監督であるマフマルバフの究極の目標なのである。この映画は、政治少年だった自身の姿を現在の心境で振り返ったユーモア満載の映画である。そしてナイフを持つ「若き日の監督」と拳銃をかまえる「若き日の警官」が対決する最後の数カットで、彼のいう「詩と哲学」がナイフと拳銃にとって変わる奇跡のような瞬間を迎えるのだ。トリッキーな話術で観客を翻弄しながら、ラストで表明される彼の思想はただただ感動的であり、素晴らしく映画的だ。まさに天才の閃きと言えよう。

あらすじ

●10代でパーレビ王朝打倒のゲリラ活動に身を投じ、17歳で警官を刺して逮捕され、イラン革命成功後まで4年半の牢獄生活を送ったという「マフマルバフ伝説」を、自ら映画化した傑作。

会社紹介  イラン映画のページ