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Warera no yuganda eiyuu
監督: 朴鐘元(パク・チョンウォン) 1992年 カラー・ヴィスタ・119分 出演: チェ・ミンシク、ホン・キョンイン モントリオール国際映画祭/最優秀製作者賞 ハワイ国際映画祭グランプリ シンガポール国際映画祭批評家賞 フリブール国際映画賞国際批評家賞 ラン国際映画祭審査員賞 |
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ソウルから田舎の小学校に転校した優等生の少年はクラスを支配するソクテに服従させられるが…。国際的にも高い評価を得た90年代を代表する傑作。
解説 『九老アリラン』(89)でデビューした朴鐘元監督の第2作。原作はデビュー作同様、人気作家・李文烈(イ・ムニョル)の小説である。1950年代末から60年代初等、李承晩(イ・スンマン)から朴正熙(パク・チョンヒ)へと政権が移動した激動の時代を背景として置きながら、国民学校の子供達の派閥争いや権力抗争を、政治的なミニチュア劇として描いている。その描写は時に残酷、凄絶であり、作り手がこのドラマを切実な現代の問題として捉えていることが分かる。その点、少年期を回想するというよく似た構成を持つ篠田正浩『少年時代』のようなノスタルジックな感触は希薄である。朴監督は「絶対的は権力を保持していたソクテが失墜して姿を消し、服従していたものらが成功者となった。しかし皆歪んだ英雄なのだ。様々な歪んだ英雄が社会のどこかに必ず存在しているのだ」と述べている。
あらすじ 予備校で英語を教えるビョンテは、小学校時代の恩師チェの訃報を聞き、葬儀へ向かいながら、30年前の事を思い出していた。ソウルの名門小学校で民主主義の教育を受けていたビョンテは、5年生のとき父親の転勤に伴ない、地方の小学校に転校した。編入先のクラスでは、級長ソクテが君臨し、全ての決定権を手にしていた。クラスメイトがソクテに食べ物を差し出し、試験の答案を代筆したりすることに納得できないビョンテは、あらゆる手段で反抗を試みる。が、ソクテの指導力に甘んじている担任チェの信頼も失い、ついにビョンテは屈服し、ソクテの腹心の部下として優遇されることに心地よさすら感じ始めていた。6年生に進み、若い新任教師キムが担任となる。彼はソクテの独裁ぶりに疑問を抱き、その不正を徹底的に暴いた。罰せられ立場を失ったソクテは学校に火を放ち、行方をくらます。ビョンテがおもむいたチェの葬儀に参列するクラスメイトらの中にソクテの姿はなく、ただ花輪のみが届けられていた。それぞれの胸に、歪んだ英雄の影が浮かぶ。 |