「永遠なる帝国」
Eternal Empire
1995年/韓国/2 時間4 分/35mm/6巻/1:1.85ビスタ/カラー

■STAFF
製作 ソ・ギョンソク(徐慶錫)
監督・脚本 パク・ジョンウォン(朴鐘元)
脚本 イム・サンス(林常樹)
  パク・ソンジョ(朴成朝)
原作 イ・インファ(李仁和)
撮影 チョン・ジョミョン(田朝明)
照明 パク・ヒョンウォン
音楽 ファン・ビョンギ
美術 チュ・ビョンド
衣装 カン・ヒョンジュ
編集 イ・キョンジャ
録音 イ・スンチョル


■CAST
国王・正祖 アン・ソンギ(安聖基)
チョン(チョン・ヤギョン/丁若縺j キム・ミョンゴン(金明坤)
李人夢(イ・インモン) チョ・ジェヒョン(曹在顕)
シム宰相(老論派) チェ・ジェウォン(崔鐘元)
イ判書((老論派) キム・ヒラ(金煕羅)
サンア(李人夢の別れた妻) キム・ヘス



■INTRODUCTION
 「われらの歪んだ英雄」で一躍世界の注目を浴びたパク・ジョンウォン(朴鐘元)が3年の歳月をかけて完成させたこの作品は、19世紀がまさに幕を開けようとしている西暦1800年のある1日に焦点を当て、国王と保守派官僚との必死の暗闘を描いた歴史ミステリーである。
 若きエリート書記官を無垢な狂言廻しに立て、彼の<一冊の書物>の探索が次第に秘められた闘争を浮き彫りにし、"社会における人間の本性"を鋭くえぐり出していく。
 ここに描かれる人間の権力欲は決して過去の物語でも韓国だけのものでもない。むき出しの権力闘争を目の当たりにしてきた韓国で大鐘賞8部門(作品・監督・助演男優・撮影・照明・編集・録音・美術)を独占受賞したアクチュアルな傑作である。
一冊の書物の存在が王朝を震撼させる、もう一つの「薔薇の名前」……
 たった1日の出来事をミステリー仕立てにした独創的な構成と、王立図書館の一冊の書物が謎の中心となる知的たくらみ。
 宮廷内での権力闘争が密かに進行していることは、一握りのトップしか知らない。その日、早朝に発生した宮廷内の書庫における密室殺人がまさにこの暗闘が沸点に達した瞬間だったとは、若き書記官李人夢(イ・インモン)には知る由もなかった。この事件の第一発見者であった彼は、死体とともに消えた一冊の書物を探し出すよう王に命じられる。それが彼の生涯を決定づける破局の始まりとは気づかぬまま…。
 映画は密かに進行していたパワー・ゲームの渦中に突き進んでいく。絶対権力の奪取を画策する国王。既得権を死守するためなら国王にも公然と刃を向ける保守派官僚たち。この二者が必死に探し求める一冊の書物<金縢之事>に隠された秘密とは!?。
 <金縢之事>とは、四書五経の一つ、「書経」周書/金縢篇に出てくる逸話から、国に非常事態が起きたとき、その理由を解明するための記録を金縢(金の帯封をした文箱)に保管しておいたとされる機密文書。
  国王・正祖を演じるのはアン・ソンギ(安聖基)、韓国の国民俳優として絶大なる人気を博している名優である。このミステリーの「探偵」役として若き書記官を支える警察官僚、後に実学の父と呼ばれる儒学者となる実在の人物、チョン・ヤギョン(丁若)には「馬鹿宣言」「風の丘を越えて」のキム・ミョンゴン(金明坤)。若きエリート書記官には映画2作目となるチョ・ジェヒョン(曹在顕)。彼の別れた妻でいつしかミステリーの中心となる運命の女サンアを熱演したキム・ヘスは映画のみならずテレビドラマでも活躍している人気女優。また保守派官僚のリーダー、シム議政には韓国演劇人協会の会長を歴任している重鎮チェ・ジョンウォン(崔鐘元)という豪華なアンサンブルである。
 1993年に発表された原作は韓国で70万部という驚異のべスト・セラーとなつた。著者のイ・インファ(李仁和)は1966年生まれ。発表当時わずか27歳で時代の寵児となった俊英。
 音楽は、韓国の伝統音楽、伽倻琴(カヤグム)の第一人者ファン・ビョンギが担当し、この宮廷ミステリーの興趣をいやが上にももり立てている。

■STORY
夜明け:官廷での殺人
1800年、豊臣秀吉の朝鮮侵攻による荒廃からようやく復興、中興期をむかえた李氏朝鮮王朝の政治惰勢は新旧対立の緊張が頂点に達していた。この緊張関係は、絶対的な梅力を誇示して社会の改革を進める王(革新派)と老論派の官僚たち(保守派)との勢力争いによるものであった。
ある朝、宮廷の王立図書館・奎章閣で検書官のチャン(張)が変死体で発見された。チャンは国王・正祖の命令で、祖父にあたる先代王・英祖の書の整理にあたっていたのだ。図書館(奎章閣)の役人、李人夢(イ・インモン)がその死を王に報告した。
李人夢と彼の儒学派である南人派は正祖の政治的文化的援助を受けていた。正祖は政敵である老論派の勢力を弱めようとしていたのである。

朝:王は検視を政敵に命じた。何ゆえに・・・?
国王・正祖は老論派の長であるシム宰相に死んだチャン検書官の検死報告を命じた。と同時に李人夢に殺人現場にあったとされる秘密文書<金縢之事>を探すように命令した。
李人夢は、刑事を司る役人のチョン(丁若)に助けを求めた。彼は南人派の一人であり、知識と経験にたけていてこのような複雑な事件においては必要とされる人物である。チャン検書官の死因が、床暖房である温突オンドルの燃料に混入させた石炭からの有毒ガスであることをつきとめたのも、まさに彼である。
事件はどうやら李人夢が探すように命じられた先代王・英祖の遺文<金縢之事>と関係しているらしい。

正午:消えた<金縢之事>
老論派はチェ・イスクをキリシタンであるという理由で投獄、拷間にかけて死に至らしめた。彼は先代王に寵愛された学者・チェ・ジェゴンの息子であり、正祖の敬愛する師でもある。そして、さらなる"死"が続く。李人夢に不審尋問され、逆に彼を襲って逃げた宦官、イ・ギョンチュルが老論派によって処刑されたのだ。チャン検書官殺害の容疑者はこの世からいなくなった。
なぜなのか?これらの死は先代王のしたためた<金縢之事>に関係しているのだろうか?それは果たして本当に存在しているのだろうか?
南人派にも老論派にもそれは謎だった。真実が暴かれるにつれ差し迫った危険に対する奇妙な感覚が関係する者たちにまとわりつくのだった。
しかし老論派は、<金縢之事>が、王位に就くことなく老論派の陰謀によって無念の死に追いやられた先代王の息子、国王・正祖の父でもある思悼世子(サドセジャ)の死に対する嘆きをしたためたものであることに気づいていた。老論派はチェ・イスクの死の直前、<金縢之事>が李人夢の別れた妻サンアに手渡されたことをつきとめる。サンアはキリスト教を信仰しているがため捕らえられ、李人夢と離縁させられていたのだ。
老論派はチョン(丁若)によって救い出されたサンアを追う。

午後:反逆
王の護衛でもある宦官長がチャン検書官の暗殺を命令したということが明らかになつた。彼の死は老論派への復讐を企てようとする国王の計画での予期せぬ出来事だったということに李人夢は気づく。李人夢は国王の個人的な復讐という密かな計画を知って、驚くとともに失望するのであった。
宦官長の投げた反逆の短剣は危うく王の命を奪うかに見えた。

その夜:一刻も猶予はない。勝たなければ全てを失うのだ。
夜は深まった。チェ・ジェゴンの屋敷では彼の一周忌が営まれていた。
今夜は獄死した息子・チェ・イスクの通夜でもある。
弔間客が次々にやって来る。南人派も、老論派も、国王・正祖も、…。
皆が<金縢之事>を求めて…。その中に、何がしたためられているのだろうか?
自らの父の復讐と権力の確立を切望する正祖は、この<金縢之事>を手にすることができるのだろうか。



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