「ボンベイ」
BOMBAY
オリジナル・タミル(TAMIL)語版
製作:アーラヤ(AALAYAM)/1995年/インド/カラー/シネスコ/モノラル/2時間21分
■STAFF
脚本・監督:マニラトナム MANIRATNAM
製作:S・シュリーラームS. SRIRAM
撮影:ラージーブ・メーナンRAJIV MENON
音楽 ::A・R・ラフマーン A.R.RAHMAN
作詞:シュリー・ヴァイラムットウ SHRI VAIRAMUTfIU
音楽録音:H・シュリーダルH. SRIDHAR/ S ・シヴァクマール S. SIVAKUMAR
録音・リーレコ:V・シュリーニヴァース・ムールティ V. SRINIVAS MURTHY
ラクシュミ・ナーラーヤナンLAKSHMI NARAYANAN
美術:トーッター・タラ二 THOTAA THARANI
編集::スレーシュ・アルスSURESHURS
衣装:マーリニ・シュリーラーム MALINTSRIRAM
振付:ラージュ・スンダラム RAJU SUNDARAM/ブラブ・デーヴァー PRABHU DEVA
■CAST
セーカル(SEKAR):アラヴィンドスワーミ1ARVIND SWAMY)
シャイラー・バーヌ(SHAILA BANU):マニーシャー・コイララ(MANISHAKOIRALA)
セ一カルの父、ナラヤナン(NARAYANPILLAI):ナーザル(NASSER)
シャイラー・バーヌの父、バシール(BASHIR AHMED):キッティ(KITTY)
双子の息子(カビール&カマル):ハルーシャ(HARSHA) &フリダイ(HRIDAYl
■INTRODUCTION & STORY
映画大国インドが生んだ恍惚と衝撃の傑作
一陣の風が招いた例えようもなく甘美な恋の行万、そして幸福な日常を奪い去る人間の狂気。 ムスリム(イスラム教徒)の少女とヒンドゥー教徒の若者の恋が、インドという国家のはらむ危機と矛盾をあぶりだし、感動の大団円へと誘って行く。
現実に超きた宗教騒動を背景に人間愛と寛容を謳いあげたこの史上屈指の問題作は、同時に映画の楽しさが画面一杯にはじける一級のエンタテインメントでもあるという希有な傑作である。
インド映画といえぱ歌と踊り この映画でも開巻後すぐに最初のミュージカルシーンが爆発。絶世の美女と言わせていただきたいヒロインのマニーシャー・コイララ。白いべ一ルに濃い目のアイシャドウが映え、俯きがちに揺れる眼差し 赤い衣装の踊り子たちを従えて華麗に舞い踊る白い蝶…、映画の桃源郷とはかくやとばかりの忘れがたきシーンの数々。
宗教を超えた愛を貫くため故郷を捨て、ボンベイで新生活を始めた若者と少女。ニ人は双子の子どもにも恵まれ幸福な6年が瞬く間に過ぎる。
1992年12月6日。インド北部ウッタル・ブラデーシュ州アヨディヤ(アヨーディヤー)の16世紀に建てられた古いイスラムモスクを数十万人のヒンドゥー教至上主義の暴徒が破壊した“アヨディヤ事件”。こ事件で火を噴いた両教徒の衝突はすぐさまインド全土に広がり、死者は干人をゆうに超えた。
ボンベイにも暴動は飛び火し、血に飢えた暴徒に主人公の最愛の子供たちが襲われるが、間一髪救われる。暴動の報に触れ、子どもと孫の女否を気遣いボンベイを訪れる双方の親たち。再び巻き起こる暴動のさなかに和解に至る両宗教の家族。この小さな絆はインドを救うともしびとなるのか…
90年代インド映画界最大の事件はマニラトナムの出現だった。南インド・タミル語映画の中心地マドラス(現在の名前はチェンナイ)を拠点とする'56年生まれのこの監督は、ちょうど黒澤明の全盛期がそうだったように、監督の名前で観客が殺到するインド映画界初のスター監督として数々の傑作を放っている。その彼の最高傑作と誰もが認める作品がこの「ボンベイ」なのだ。
13作目にあたるこの映画は、”アヨディヤ”事件の傷跡も生々しい時期に製作を開始、自宅に爆弾が投げ込まれるなど様々な妨害と検閲を乗り越えて、公開されるや圧倒的な民衆の支持を勝ち得、全土で大ヒットを記録した。ヒロインを演じたマニーシャー・コイララは一躍卜ップ女優となった。ネパールの元首柑を祖父に持ち、父も国会議員という出自とその紳秘的な美貌はインド映画界でも異色の女優。
音楽は「ムトゥ 踊るマハラジャ」「インディラ」のA・R・ラフマーン。なんとこの映画の3曲が国内チャートNo.1に輝くという偉業を成し遂げた。そしてインストルメンタルのテーマ曲はイギリスのコンビレーション・アルバムに収録され、話題を呼んだ。
また、インド独立50周年を記念して製作した“VANDE MATARAM”(母なる大地に捧ぐ)はTlME誌やイギリスの音楽雑誌THE WIRE 誌で特集が組まれ、一躍世界舞台に踊り出た。
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